病院薬剤師は、薬の専門家として患者さんの治療に深く関わることができる、やりがいのある職種です。
同じ薬剤師でも、薬局とは働き方や役割に違いがあり、病院ならではの特徴や魅力があります。夜勤やチーム医療、薬薬連携、専門資格の取得など、日々の業務の中で多くの経験が積める環境です。
このブログでは、薬局との違いや病院薬剤師として感じるやりがいについて、現場の視点から詳しくご紹介します。病院薬剤師を目指す方は、ぜひ参考にしてみてください。
病院薬剤師の仕事・薬局との違い
病院薬剤師の仕事について、主に薬局薬剤師と違う点について説明します。
夜勤がある
病院薬剤師には、夜勤や当直といった勤務があります。病院は24時間365日動いているので、夜中でも薬剤師が必要なんです。
当直は日勤(8:30~17:00)の後、そのまま翌朝やお昼まで働くスタイル。一方で、救急が多い病院では、夜勤として夕方から翌朝までの勤務になることも。
夜勤中は、救急で来た患者さんの対応がメインです。日中の外来と違って「とりあえずの薬」を1~3日分出すこともあります。入院になったら点滴を準備したり、翌日の薬を病棟に持って行ったりと、いろんな場面で活躍しています!
薬薬連携
病院薬剤師は、薬局の薬剤師と連携することもあります。
たとえば、薬局から「この処方で大丈夫?」といった質問があったときには、電話やFAXで連絡が来て、医師に確認してから返事します。また、入院していた患者さんが退院するときには、退院カンファレンスで薬局薬剤師さんや、退院後に関わるスタッフと情報を共有することも。入院中にどんな薬を使って、どんな経過だったのかを伝えることで、退院後のスムーズな治療につながります。
専門薬剤師の認定が取りやすい
薬剤師には、感染症やがんなどに特化した「専門薬剤師」という資格があります。これを取るには一定数の症例が必要で、病院の方が集めやすいんです。
病院では医師と直接やり取りできるため、治療への関わりもスムーズ。例えば感染制御の専門薬剤師なら、感染症の患者さんが多い病院では経過も見ながら薬の効果を判断できます。
一方、薬局では軽い感染症の患者さんが多く、1回の処方で終わってしまうことも。カルテや検査値も見られないため、深く介入するのは難しい場面が多いんです。
病院では回診で意見を求められることもあり、薬剤師としての専門性が発揮しやすい環境と言えます。
現在ある専門薬剤師の認定は、感染制御、がん、精神科、妊婦授乳婦、HIV感染症、があります。
病院薬剤師のやりがい
次に、病院薬剤師のやりがいはどういうことがあるのかを見てみましょう。
薬物治療に介入できる
病院薬剤師の最大のやりがいは、薬物治療に直接介入できることです。
薬の専門家である薬剤師は、医師よりも薬に関する知識が深いため、患者ごとに最適な薬物治療を提案することができます。特に専門分野の認定資格を持っていると、その分野における知識や経験が豊富なため、より適切な提案がしやすくなり、医師からの信頼も得やすくなります。
自分の提案が治療に取り入れられ、患者さんの状態が改善したときには、大きな達成感とやりがいを感じられます。
チーム医療に関われる
病院では、複数の専門職が連携して治療にあたる「チーム医療」を実施しているところもあります。
たとえば、栄養状態の悪い患者さんを支援するNST(栄養サポートチーム)や、がん患者さんを支える緩和ケアチームなどがあり、医師、看護師、栄養士、ソーシャルワーカーなど、さまざまな職種が関わります。薬剤師もその一員として、患者さんの治療に深く関与することができます。
こうしたチームの中で活動することで、自分の知識や経験が広がるのはもちろん、他職種との信頼関係も築けます。何より、関わった患者さんから感謝の言葉をもらえると、薬の説明だけをしている時以上に、強いやりがいを感じることができます。
他職種から頼りにされる
他職種と関わるのは、チーム医療の場面だけではありません。病院内の役職によっては、薬剤師もPHS(院内携帯電話)を持っており、医師や看護師などから直接問い合わせの電話がかかってくることがあります。
多いときには、1時間に数回対応することもあり、夜勤中でも信頼されている薬剤師には頻繁に連絡が入ります。質問の内容はさまざまで、薬の選択や投与方法、副作用に関することなど多岐にわたります。
電話が多いと忙しくはなりますが、「頼られている」と実感できる場面でもあり、大きなやりがいを感じます。また、こうしたやり取りを通じて、病院内のさまざまな職種の業務や考え方に触れられるのも貴重な経験です。
症例をたくさん見れる
病院では、多くの急性期の症例を直接見ることができるため、非常に勉強になります。
急に具合が悪くなり、入院が必要な状態の患者さんに関わることができるのは、病院ならではの特徴です。
病気には、急性期に入院して集中的な治療を受け、ある程度回復した後に退院し、外来で継続的に治療を行うという流れがあります。この中で、特に病状が悪化している時期の様子や治療内容を知ることは、病気を深く理解するうえで欠かせません。
薬局では急性期の患者さんと関わることがほとんどないため、こうした経験が積める点も、病院薬剤師ならではの大きなやりがいの一つです。
まとめ
病院薬剤師は、薬物治療への積極的な関与や、他職種との連携、専門性の追求など、幅広い分野で活躍できる仕事です。薬局とは異なり、急性期の症例に触れながら、現場で学び続ける環境が整っています。患者さんや医療スタッフからの信頼を得ながら、自身の成長を実感できる点も大きな魅力です。
多くの経験を積み、専門性を磨きたい薬学生や若手薬剤師にとって、病院はやりがいに満ちたフィールドだといえるでしょう。
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