薬学部卒業の就職先はどこ?薬剤師資格なしでもいいところはある?

薬学部

薬学部を卒業したその先に、どんなキャリアが待っているのか。意外と様々な職に就くことができるんです。

本記事では、薬剤師資格が必要な就職先と、薬剤師資格なしでも就職できるちころに分けて、実際にどのような職場があるのかを解説します。

薬学生の進路選択や、薬剤師になった場合どのような仕事に付けるのかを知りたい高校生のみなさんの参考になるよう、それぞれの道の特徴と可能性を詳しくご紹介します。

薬剤師免許が必要な就職先

薬剤師免許が必要な就職先は、病院・調剤薬局・ドラッグストア・公務員(職種による)などがあります。

病院・調剤薬局・ドラッグストアに就職する割合は、大学によって違う傾向にあります。

一般的には国公立大学では少ない傾向にあり、半数以下のところが多いです。私立では、偏差値が高く国公立と同じくらいのところでは、やはり少なく40%程度。少し偏差値が下がっていくと、これらの就職率は高くなっていきます。

偏差値50前後かそれ以下の私立大学では、ほとんどの学生が病院・調剤薬局・ドラッグストアに就職することが多くなっていきます。

病院

病院での大まかな仕事内容は、入院している人の飲み薬や注射薬を調剤したり、医師をはじめとした他職種と連携して薬剤師としての専門知識を共有するといったことで、患者さんの治療に関わっています。

病院によっては、薬剤師外来というのを設けていて、医師の診察の前に患者さんの薬の服薬状況だったり、副作用の状況などをヒヤリングします。必要であれば医師・看護師に情報を共有して治療薬を変更したり量を変更したり、といったことに携わっています。

◇病院で働くメリット◇

①注射薬の知識が身に付く

最近は在宅医療がさかんになって来ていて、家で医療を受けたいけど飲み薬が必要、口から物を食べられなくなっているので点滴が必要、それでも家で過ごしたいという方もいらっしゃいます。

病院で注射薬をどのように扱っていくのか、患者さんがどういう流れで注射薬を使っていくのかという知識を知っておくだけでも、将来調剤薬局に転職したとしてもその知識が役だちます。

②他職種と連携できる

他職種の考え方に触れることができます。

職場の中に、医師・看護師・リハビリの理学療法士(PT)・作業療法士(OT)など、様々な職種の方がいるので、その方たちと関わることができます。

こういった方達とコミュニケーションを取っていくこともできるし、カルテを見ることもできます。この方の治療をどうしようかというカンファレンスに参加することもあります。

この職種の人はこういう目的をもっているからこういう考え方をするんだ、ということを知ることができます。

◇病院で働くデメリット◇

他の職種に比べて、給料が安い傾向にあります。

 

調剤薬局

調剤薬局のざっくりとした仕事内容は、医師の処方箋に基づいて薬を調剤し、患者さんに適切に薬を渡すことです。

ここで大事なことは、調剤薬局の薬剤師は医療過誤を起こさないための最後の砦という責任感が必要ということです。

どういうことかというと、医師の診察では言えなかったことを薬局では言ってくれる患者さんもいます。単に言いそびれたということもよくあります。それが実は、副作用に関する重要なことだったりすることもあるんです。医師にしっかり伝えないといけない情報だったりするということです。これを見逃して薬を渡してしまうと、健康被害が起こるかもしれないんです。このような場合、ほんとにその薬をお渡ししていいのかどうかを判断するのが最後の砦。これはすごく重要です。

調剤薬局は在宅医療への関わりも重要になっています。在宅医療に積極的に関わることで、注射薬に関する知識も蓄えられます。

◇調剤薬局で働くメリット◇

①洞察力・状況判断能力が身に付く

薬局は医療ではあるのですが、どちらかというとサービス業と言えます。

病院で診察を長時間待った患者さん達が、早く薬をもらって帰りたいと思っています。なので、なるべく早く薬を適切にお渡しする必要があります。この時に、この患者さんは何を考えているだろうか、なにか聞きたいことがあるのか、または早く帰りたいのか、そういった洞察力・人間観察力というのが非常に重要になってきます。

②社会情勢や経営に詳しくなる

薬局は、従業員の人数は少なく、その中に管理者が1人いるという環境となります。なので自分が管理者となった場合、薬局の売り上げをどう増やしていくかといった経営のことも一緒に考えていくこともあります。会社からの命令で、売り上げを考慮しなければいけないこともあります。

◇調剤薬局で働くデメリット◇

人数が少ないので人間関係が狭く、性格上合わない人が1人でもいると苦痛に感じることがあります。

大手の調剤薬局などであれば、転勤や異動ということもできます。小規模のところだと難しいところがあると思います。これは入ってみないとわからないところでもあります。

 

ドラッグストア

ざっくりとした仕事内容は、ガスターやロキソニンといった一般用医薬品に関して患者さんに情報提供したり注意喚起をしたりするということです。また、適切な薬選びに関わることもあります。

お客さんは薬で対処しようとしているが、話を聞いてみるとちゃんと診察を受けたほうがいいという症状もあります。そういう時に、受診するように勧めるのもドラッグストア薬剤師の大事な仕事です。

ドラッグストアでも、調剤併設の店舗もあります。そういう店舗では、調剤薬剤師として働くこともできます。

◇ドラッグストアで働くメリット◇

①薬全般について詳しくなる

処方箋で渡す薬と一般用の薬、両方に詳しくなれます。

セルフメディケーションといって、自分で健康を保つという行いに関わることができます。

一般用医薬品に対する知識を得ることができるのはドラッグストアならでは。セルフメディケーションに関わることは、国の医療費削減につながってきます。とはいえ最近は調剤薬局でも一般用医薬品を置くことも多くなっていますが。

②給料が比較的高い

ドラッグストアは比較的給料が高い傾向にあります。

◇ドラッグストアで働くデメリット◇

接客要素が強いです。

また、薬剤師業務以外の品出しやレジ打ちの業務も多いです。そういったことはしたくない、薬のことだけに関わりたいという場合はデメリットとなります。

 

公務員

公務員はどのランクの大学でも就職先としては数%です。

薬剤師国家資格が無くても就職できる職種もあります。

公務員は、国家公務員と地方公務員に分かれます。

国家公務員

国家公務員の薬剤師は、厚生労働省の総合職となります。

ざっくりとした業務内容は、医薬品の開発を促進したり、薬剤師の今後の活躍を支えるのためのフィールドを開拓したり。食品の安全性・衛生を確保するための業務です。医療のお金に関する業務、薬を1錠いくらにするかという薬価改定や、診療報酬の改定などがあります。

麻薬取締官となることもあります。

これらは薬学部の6年制を卒業する、薬学部の4年制を卒業、または大学院にも2年間通う、ということでなれる可能性があります。薬剤師の資格は無くてもなることができます。

またこれらは、薬学部以外の学部で勉強した方もなることができる職種です。

薬剤師資格が必要な公務員は、国立病院や公立病院があります。

国立病院や公立病院は、意外と給料が高めとなっているようです。

地方公務員

地方公務員になるには、各都道府県の公務員試験を受けます。合格すれば、公立病院や薬局、保健所・役所・研究所などに配属されます。

自衛隊

自衛隊に入るということもあります。

自衛隊では「薬剤官」と言う国家公務員特別職という扱いとなります。

自衛隊なので、当然体力も必要となります。体力があって、薬の知識も生かしたいという方には向いているかもしれません。

PMDA

PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)

これは厚生労働省の外郭団体(委託機関)です。

業務内容は、医薬品の承認審査(製薬会社が薬を開発した時に、承認するかを決めたりする)、薬の説明書を作るなどがあります。

国家公務員ではないですが、みなし公務員という扱いになります。

公務員のメリット・デメリット

◇公務員のメリット◇

①安定性が高い

②福利厚生が充実

育休を例に挙げると、一般的には1年のところ、公務員では3年取得できます。

◇公務員のデメリット◇

転勤・出向が多い

募集人数が少ない

 

薬剤師免許が必ずしも必要でない職場

薬剤師の免許が無くても就職できるところもあります。

製薬企業

製薬企業では、MR(医薬品情報担当者)、研究職、開発職、メディカルサイエンス、CRA(治験開発モニター)、などがあります。

メディカルサイエンスとは、中立的な立場で論文を読み込んだり、資料を作成したりします。

CRAとは、薬の治験において、業務を上手く回したり、薬の正統な評価を行ったりします。

◇製薬企業で働くメリット◇

①高収入が期待できる

特にMRは高めと言われています。MRは薬剤師ではなくてもなることができますが、薬剤師だと薬剤師手当がつくことが多いようです。

また、他学部出身の方も多い職場なので、いろいろな人と関わる職場となってくると思います。

②福利厚生が充実

大きい会社なので、福利厚生は充実している

 

◇製薬企業で働くデメリット◇

①転勤や出張が多い

②大学によっては就職が難しい

 

CRO(医薬品開発受託機関)

CROとは、薬の治験において製薬企業から外部に委託することがあり、それを受け持つ機関です。

CRA(治験開発モニター)、PV(安全性情報管理)、QC(品質管理)、DM(データマネジメント)など、たくさんの職種があります。

◇メリット◇

①医薬品開発に携われる

②CROは右肩上がりに売り上げがアップしている

◇デメリット◇

①転勤・出張が多い

②年収が低め

 

化粧品・食品会社

化粧品を開発したり、食料品の安全性をみたり、新しい食料品を出したりする会社です。

研究開発をする部門、広告を出すために薬機法に違反しないよう確認する部門などがあります。

◇メリット◇

①新商品の開発に携われる

②福利厚生が充実

◇デメリット◇

求人数が少ない

ハードルが高い

薬学部を卒業したからと言って、化粧品会社・食品会社に就職しやすくなるわけではないので注意。化学系の学部で実験などをバリバリにやってきた方の方が有利なことが多いです。

 

まとめ

薬学部を卒業したあとの就職先について解説してきました。

薬剤師の免許が必要な就職先は、病院・薬局・ドラッグストア・一部の公務員があります。

また薬剤師の免許が必ずしも必要ではない就職先には、製薬企業・CRO・化粧品や食品の会社などがあります。

自分はどういうことをやりたいのかを考えながら、就職先を選ぶ際の参考にしていただければと思います。

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